第3話

「堂城先輩! 邪魔者はいなくなりましたよ?」

「…春ちゃん?」

 先輩がゆっくり顔をあげる

「堂城先輩。私になにか大事な用事があったんじゃないんですか?」

 野次馬軍団が、完全に居なくなったことを確認してから堂城先輩に声を掛けた。

「…あぁそうだ! 忘れる所だった! はいこれ」

 堂城は、上着のポケットから手紙を取り出し滝川に差し出す。

「あの……」

 滝川」は、先輩から渡された手紙を見つめながら困り顔になる。

「なんだよ! 言いたいことがある言えよ!」

 手紙を渡した喜ぶどころか、何故か困り顔になった滝川に、堂城は怒りが込み上がってくる。

「本当に言っていいんですか?」

「あぁ!」

 堂城も売り言葉に買い言葉になっているので、「あぁ!」と怒り口調で返事を返す。 

「……じゃあ、言わせて頂きますけど、私、今まで、堂城先輩のこと、そんな目で見たことありませんから?」

「はぁ? なに言ってお前?」

「だから、ラブレターですねよ? これ?」

 滝川からは、堂城から渡された手紙を指差しながら、そう呟く。

「はぁ? なんで俺が、お前にラブレターなんか書くんだよ! まぁ? 滝川? お前がどうしても欲しいなら書いてやってもいいけど?」

「それは、結構です」

「あぁ! そう?」

「じゃあ? 冗談は置いといて、本当は、誰からの手紙なんですか?」  

「……」

 黙り込む堂城。

「……先輩?」

「……そう言えば、去年のクリスマスイブに、昴くんに告白したんだってね?」

「どどうし……」

 どうして堂城先輩が、それをして知っているんですか?

 誰にも、告白したこと話していないのに。

「……ごめんね春ちゃん。本当ねぇ? この手紙をきみに渡していいのか? 俺には、今でも正直解らないんだ。だから、この手紙をどうするか、滝川。きみの判断に任せるよ」 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る