第18話
「美緒。大好きだよ」
そう、美緒に告げて美緒にキスをした。
そして、お互いの息が続く限り何度も何度も唇を重ね、互いの熱を奪い合った。
その間も美緒の体がソファーから落ちないないように強く抱きしめていたのに、いつの間にか、自分が彼女を上から見下ろしていた。
「美緒」
「……永輝さん。私達って夫婦だよね?」
「……当たり前じゃあないか! 美緒急に何言いですんだ?」
唇を重ねていた美緒が、ゆっくり唇を離し、自分を真剣な目で見つめてくる。
「……ごめんそうだよね。はぁはあ私、永輝さんになに訊いてるんだろうね。ごめんいまのは忘れて」
「……」
悲しそうに、苦しそうに、そして、自分を責める様に、自分に口づけをしてくる彼女に、永輝は心が苦しくなる。
理由は、美緒の問いかけ『私達、夫婦だよね?』に即答できなかったから。
普段の自分なら速攻で答える事ができるのに、今日は、どうしても速攻で答える事ができなかった。
きっと、一瞬、自分の脳裏に、あの日の裏切りが浮かんだから。
あの日、僕は、美緒を裏切った
あの日の僕は、壊れていた。
美緒と言う愛するべき奥さんが居るのに、そんな彼女を裏切って他の女性に心を奪われ、その女性に熱いキスと抱擁をしてしまった。
そう、俺はその女性と男女の関係を持ってしまった。
そして、あろうことかその女性に『結婚しようと』言ってしまった。
★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます