第16話

「美緒。これ、泉石くんが君に渡して欲しいって」

 リビング、そして、自分の隣に座った美緒に、背中に隠し持っていた小包を彼女の前に差し出す。

「渚くんが! 私に!」

 永輝から受け取った紙袋には、渚からの結婚祝いが入っていた。美緒は、早速小包の封を切って、中を覗き込んだ。

「!?」

「美緒?」

「……永輝さん。キスしていい?」

「美緒!?」

 紙袋の中身を覗き込んで居たはずの彼女が、いきなり自分にキスを求めてきた。

「……永輝さん」

 美緒は、永輝からの返答を待たずに、彼の名前を呼ぶと自分から抱きつき、彼ごとソファーに押し倒し、そのまま唇を重ねた。

「みっみ……」

 美緒からの突然のキスに驚きながらも、彼女がソファーから落ちないように彼女の背中に、自分の手をそっと添える。

「永輝さん。大好き」

 頬を真っ赤に染めた美緒の顔とそんな彼女の口から飛び出した「大好き」って言葉。その反則並みの言葉に、一瞬彼女へ浮かんだ不審感が自分の中から、消えていった。

「美緒。大好きだよ」

 美緒をその体勢のまま抱きしめ、今度は、永輝の方から美緒の唇に自分の唇を重ねた。

 そして、自分達の息が続く限り、何度も何度も唇を重ねた。

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