第53話
「昴君。まだかな?」
昴くんが、携帯で渚君にメールを送ったのかさっきからずっと携帯とにらめっこをしている。
…ブブブ… 携帯の着信音。
「…樹利亜さん…はぁ!」
咄嗟に灯は口を手で塞ぐ。
(そう言えば昴君に、樹利亜さんとの関係まだ話してなかった)
灯は、昴に今の声が聴こえていないか確認する為に、昴の方をそっと見る。
(…よかった)
昴は、画面に夢中で全然こっちを見ていない。
(ほぉ)
灯は、肩を下ろす。
そして、覚悟を決めて樹利亜からの電話に出る。
「もしもし」
「…灯さん…私…」
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