第44話
梨々花が突然、ここに居ないはずの滝川の名前を呼ぶと、扉の方に歩き出し、閉めていた扉を開ける。
「!? 犬塚編集長!? わたしやっぱり?」
「もう滝川さん。ここまできてなに言ってるの! ほら早く」
滝川は、梨々花の問いかけに小さくコクリと頷く。
そして、梨々花は、滝川の手を取り、堂城の隣に連れて行く。
「はい。邪魔者はこれで、居なくなりますので、あとは、若い者同士で。でも、誠也君。彼女、階段…」
「編集長!?」」
滝川が慌てて、梨々花の口を塞ごうとする。
けれど…それを遮るように堂城が、二人の前で突然土下座を始めた。
「俺が悪かった。許してくれ!」
「堂城先輩!? 顔上げて下さい?」
突然土下座を始めた堂城に、梨々花の口を塞いでいた滝川が慌てて止めに入る。
しかし、堂城は、顔を上げようとしない。
それどころか…自分の額を冷たい床に何度も擦り付けはじめた。
でも、その行為は、ある人物のある行動によって一分もしない内に終息した。
_パンパン_ 頬を殴る音。
「!?」
梨々花が、土下座をする堂城の強引に立ち上がらせ、そのまま頬を拳で殴る。
けれど、殴った本人である梨々花は、何故か涙を流していた。
「りり梨々花!? なんでお前が泣いてるんだよ。泣きたいのはこっちだよ?」
それには、突然殴られて文句を言おうとしていた堂城も痛みを通り越して滝川が居るのを忘れて梨々花と呼んでしまった。
でも、そんな堂城の言葉を遮るかのように、梨々花が堂城の胸に飛び込んできた。
「梨々花!? おい! って、春ちゃん!?」
「…あぁ先輩! 私、外に出てますね?」
滝川は、抱き合う堂城と犬塚の姿に顔を真っ赤にしながら、扉の方に一歩一歩下がり、そのまま外に出て行った。
「春ちゃん! 誤解だから!」
出て行ってしまった滝川の誤解を解こうと、堂城は、自分に抱きついてきた梨々花を引き離そうと、彼女の体を外に押し出そうとしたら、逆に梨々花に腕を取られ最初よりも距離を詰められ、そのまま唇を奪われた。
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