第43話

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 息が苦しい。 

 胸が苦しくて、意識を持っていかれる。

「…誠也君。誠也君!」

(…梨々花?)

 梨々花が、俺の事を呼んでいる?

「誠也君。誠也君大丈夫? 誠也君ってば」

 梨々花が堂城の背中を名前を呼びながら何でも叩く。

「…もう貴方がその気なら、私だって…遠慮しないから」

 梨々花が、堂城の鼻を思いっきり掴む。

「うんんんんん! ぐはぁ! なにするんだよ梨々花!」

「えへへへ。やっと気が付いた? 誠也君大丈夫?」

 イタズラっ子みたいな笑顔で、堂城の事を見詰める梨々花に、堂城は、彼女の名前を驚きながらも彼女の名前を呼ぶ。

「梨々花。鳴海坂は…」

 堂城が周りを見渡しが昴の姿は、どこにも見当たらない。

「あぁ! 昴君? 彼なら、貴方がぼっとしている間に私に、断りを入れて帰っていたわよ。そう言えば、昴君に訊いたんだけど 彼、今度結婚するんだってね? いいなぁ? 誰か、私の事貰ってくれないかな? あぁ! ごめん。誠也君の前では、不謹慎だったね?」

 梨々花は、頭を場が悪そうに頭を下げる。

「…なぁ? 梨々花?」

「どうしたの? 気持ち悪いんだけど…」

 堂城に対して、頭を下げていた梨々花は、馬鹿馬鹿しくなって顔を上げる。

「梨々花。俺って…馬鹿なのかな?」

 右手を堂城の額に近付けると、そのままでこピンを食らわす。

「誠也君! いや堂城副編集長。貴方がバカなのか、会社の人間ならみんな知ってるわよ? 貴方は必死に隠してるみたいだけど」

「!?」

 梨々花の口から告げられた衝撃な真実に堂城は、動揺が隠せない。

 俺は、入社6年目の29歳で、雫丘出版の4人いる副編集長の一人に、どういう訳が任命されてしまった。

 それもあって、任命当初は、「若すぎる。堂城には務まらない。交代するべきだ」と言われた。

「誠也君。貴方が社内でオネェ言葉で話しているのだって、表向きは、社内で敵を作らない為 でも、本当の理由は…いやぁ? これは、私が言ったらダメだね? そうだよね? 滝川さん?」

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