（編集長ってやっぱり好きなんだ！　堂城先輩の事が）

　扉越しに二人のキスを目撃してしまった滝川は、梨々花が未だに堂城の事を好きなのだと改めて実感した。

★

「…誠也君。私は、あのとき、自分の意思で貴方の元を離れた。だけど…ずっと、貴方が好きだった」

「梨々花…もう、俺は…」

　梨々花が、泣きながら堂城の胸に飛び込み、そして、顔を埋める。

「…誠也君。貴方が、もう、私に好意を持ってないのはとっくに解ってる。だからこそ…いまだけは…」

　堂城が、梨々花の事を愛していない事なんてとっくに解っている。

　それでも、貴方の事を完全に諦める為に、今だけは、貴方の胸で泣かせて。

「…」

　一方、堂城も今の自分の気持ちを汲んでくれて元恋人を何を言わずに昔みたいに優しく抱きしめる。

★

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