第41話

『169808…あった! あったよ。誠也君は?』

 合格発表の番号が書かれた白いホワイトボードに、自分の学部の受験番号を見つけた梨々花は、隣に立って居る恋人の堂城に結果がどうだったかを尋ねる。

『おめでとう梨々花。やっぱりお前は、すごいな? 俺なんて、合格点にすら届かなかったのに…あぁくそ! やっと勉強から解放されると思ったのに』

 自分は、不合格だったのに、自分の合格をまるで自分の事のように喜んでくれる、そんな堂城に姿に、梨々花は…心が苦しくなる

(なんで、そんな風に笑えるの? 笑わないでよ? 私に気使わないでよ?)

_コン_ 額をでこピンする音。

『なんて、顔してんだよ?』

 堂城は、折角合格したのに、自分のせいで笑顔をなくしてしまった恋人(梨々花)の笑顔を戻す為に、心を鬼にして、彼女にちょっと強めのでこピンを食らわす。

『せせせせせ誠也君!?』

『梨々花。俺が、お前に、気を遣うならまだしも、なんでお前が、俺に気を遣うんだよ!』

『でもでも…私だけ…合格して誠也君が…』

『あぁ! もう』

 うじうじと自分の合格を認めようとしない梨々花を抱きしめる。

『…梨々花。お前は、俺の自慢の彼女だ!』

『…ありがとう』 

 でも…その日を最後に、私は、彼の前から姿を消した。

 そう、私は、自分から誠也君を捨ててた。

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