裏切りへのキス

第15話

6年前、私は、堂城君に気持ちを伝える事ができなかった。

 私は、あいつによって無理やり妻にさせられた後も、堂城君の事を忘れる事ができなかった。

 だけど、堂城君は、私を避け始めた。

 理由は、私の名前があいつと同じ、七瀬樹利亜に変わったから。

 私だって、本当は、あいつの苗字なんて名乗りたくない。

「七瀬樹利亜」と呼ばれる度に、私の中から、かろうじて残ってる堂城君が、一歩ずつ消えて行く。

 消えないで。もう、私を「七瀬樹利亜」って呼ばないで。

 これ以上、私から堂城君を奪わないで

 堂城君。私は、貴方の苗字を名乗りたい。

 お願い助けて。

 ☆

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