第49話

<3分後>

 原稿を読み終わった玉木は、原稿をデスクの上で軽く叩いて綺麗に揃える。

「うん。いいじゃあないか?」

「本当ですか! あぁすみません!」

 西野なこは、今回、幸せしろいねこ年末特大号で、始めて10頁にも及び特集ページを担当させて貰えた。

 そこでなこは、ずっと特集してみたかった「日本全国のパワースポット」をやりたいと、自ら企画書を作り、企画会議で自らプレゼンし、編集会議を得て了承された。

 その為、この企画を絶対成功させるため、なこは1ヵ月ほぼ毎日に日本各地のパワースポットに取材に行っていた。

「いやぁ! それだけお前が頑張ったって事だろ?」

「あぁっはい! すみません」

 なこは申し訳なそうに頭を下げる。

 そんな、なこに玉木は……

「だから謝るなぁ! お前は他人に気を使いすぎだ! お前はもう少し欲を持て欲を! 欲を!」

「へへへへへ編集長!」

 突然の玉木の頭ポンポンに言葉どころじゃあなくなる。

 いったい何が起こったの?

 編集長が私に?

 なこは、パニック寸前。

 それぐらい、玉木の行動は、なこを混乱させた。

 しかし、肝心の玉木は、そんななこの動揺を気にする様子もなく……

「で? 西野? 返事は?」

「えっ?」

「だから? 返事は?」

「あぁぁははい! すみません!」

 玉木からの突然の頭、ポンポンに動揺に、すぐの言葉を返す事にできなかったなこは、彼の言葉に慌てて返事を返えす。

 でも、慌てて言葉を返したせいで、言葉の一部がおかしくなる。

 けど、それ以上に、編集長に、失礼な態度を取ってしまった。

 やばい! 原稿、どころか、企画自体がボツがなる。

「西野!」

 頭ポンポンの次は、なこの両頬を軽くつまむ。

「編集長!」

「やっぱり。お前はその顔が一番いい。うん! じゃあ、原稿ありがとうなぁ!」

 さっきまでとは違って、にこっと自分に笑い掛けてくる玉木。

「あぁぁはい。じゃあ失礼します」

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