第45話

「……」

 來未が自分に宛てに残していった手紙を、栞がいなくなった彼女の部屋で読んでいた匠。

 しかし、そこに書かれていたのは、來未から自分への頼みごとだった。

 それも、優しい口調でのお願いではなく……強い命令口調でのお願いだったので余計に涙が流れる。

「……なんだ! 來未ちゃん訊いてたんだ! もう、訊いてなら言ってくればよかったのに……」

 來未ちゃんは、栞以上に優しくて、繊細。

 だからこそ、來未ちゃんの周りには常に人がいるし、みんなに愛され、來未ちゃん自分もみんなのことを愛している。

 でも……來未ちゃん自身は決して、自分の弱さを他人に見せないし、見せようともしない

 だからこそ、來未ちゃんは……

「……バカだよ來未ちゃん。そんなこと、僕も栞も全然気にしないのに。むしろ……」

 君がいなくなったらダメなんだよ!

 涙で手紙の文字が掠れていく。

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