第27話
「…戻りました」
電話に出る為にキッチンを離れ、色々あってキッチンに戻ってきた如月は、唐揚げの仕込みを終え、ビーフシチュー仕込みを始めていた兼城に戻りましたと声を掛ける。
「おかえり。遅かったなぁって? なにがあったんだ!」
兼城は、如月の汚れた制服をを見てなにがあったのか彼に尋ねる。
「あぁこれですか? 恥ずかしい話なんですけど、電話を取りにホールに行く途中、床に落ちてたゴミに滑って転んじゃったんです。あぁはぁはぁ」
話さない理由の一つに、自分で勝手に勘違いして店長に土下座をしてのもあるのだか、それ以上にさっきの店長の行動と言葉は異常だった。
なんだか、焦っているような感じに見えた。
まぁ? これも自分も勘違いかも知れないけど…
「あぁはぁぁって笑ってる場合じゃあないだろう?」
「すみません」
兼城の指摘に如月は、申し訳なさそうに頭を下げる。
「まぁ? お前に怪我がなくてよかったよ! とりあえずその制服は着替えてこい! 汚れ過ぎた」
「…あぁぁそうですね? じゃあちょっと着替えてきます」
如月は、制服を着替える為に再びキッチンをあとにした。
★
「まぁ? 如月に怪我がなくてよかったけど…コケるか? あんなところで」
如月が出ていったあと兼城は小さくため息をつく。
けど現実に如月はコケ、制服の上からは着る黒いエプロンは泥で汚れていた。
だから、兼城は、この信じがたいこの現実を受け入れなければいけない。
ただ…その中で兼城の中で一つの疑問が…
「そう言えばあいつ、電話のこと一切言わなかったなぁ? まぁ? あいつが戻ってきてから聞けばいいか? そんな事より夕方の仕込みを早く終われせないと9時の営業時間に間にあわない」
兼城は消していたガスの火をつけビーフシチューの仕込みを再開させた。
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