第26話
(…如月遅いなぁ! 店長呼びに行くのに何分掛かってるのよ! 匠さんが起きてきちゃうじゃあ!)
栞は、寝室で寝ている匠が起きてこないか心配しながら、店長を呼びに行ったまま中々戻ってこない如月の帰りをイライラしながら待っている。
すると、今まで聞えていた保留の音楽が消え…
『神林遅くなったすまない』
「ててててて店長! お疲れ様です」
中々戻ってこない如月にイライラしていた栞は、突然聞こえてきた樹の声に驚き、思わず声が裏返る。
『…神林。声が裏返ってるぞ! それに、怒っていいんだぞ! 俺、もしくは如月に』
「…大丈夫です。それに、最初に店長からの電話に気づかなかったのは私に方ですから」
樹の指摘に神林は、悪いのは、一時間前に電話に出なかった自分の方だと告げる。
そんな栞に言葉に樹が思わず大きなため息をつく。
『はぁ…お前の立場上、店長である自分に逆らえないのは解るけど、自分が何も悪くない時は謝らなくてもいいし、相手が間違えを起こした時は立場なんか気にせず注意する事も大事だぞ! じゃあないとお互いいい気がしないだろう?』
「…そうですね…あのそうだ! 店長、私に用事ってなんだったんですか?」
栞は、強引に話をすり替える。
栞的にこれ以上この話をされると…
(私の体…いやぁ…心が持たない)
『あぁそうだったなぁ! 神林、七橋昨日お前の家に泊まったのか? それとも…』
樹は、栞の言葉に用事を思い出したかのように、質問を投げかける。
「來未なら私の家に泊まりましたよ!」
『そっか? 神林の家に泊まったのか? じゃあ、今日以降もお前の家に七橋を泊まるのか?』
「えっと…」
樹の質問に言葉を詰まらせる栞。
『神林?』
「…えっと今日は泊まりません! それどころか、今日の私の家から出ていきます。あぁ出て行くって言っても、今はまだ、私の寝室で寝てるので起きてからになるんですけど」
『…そっか? 神林、今日、仕事休んでいいぞ!』
「ててて店長! どうしたんですか? 今日の夕方、大人数の予約が入っ入ってましたよね?」
『あぁ! だから今、兼城と如月がキッチンでその下準備をしているキッ所だ! 今日は、キッチンがあいつら以外みんな希望休で休みだから』
「だったら、私も休んでなんかいられません! 例え、店長命令であったとしても、朝から出勤します!」
そうじゃあなくても今日は、人手が足りない。
それなのに自分だけ休める訳ない。
例え…店長命令であっても…
『神林、お前のその気持ちは店長からしたら嬉しい。けど樹薪、個人して言わせて貰う。今日、お前にroseに来られると迷惑だ!』
「どういう事ですか? 理由(わけ)を教えて下さい!」
『それは言えない! けど、これだけは言わせて欲しい! お前は何も悪くない。勿論、七橋だって悪くない』
「ててて店長! あぁ…切れてる」
栞は、結局最後まで理由を教えて貰う事ができなかった。
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