第18話

TO 古橋総一郎

 件名  ありがとうございます

 古橋さん。今日まで本当にありがとうございました。

 最後のメールでこんな事を告白するのもは、私の事を捨てた貴方への当てつけに取られるかも知れませんが、私にも大学時代に交際し、卒業後に結婚しようと誓い合った恋人がいました。

 でも、その恋人は、私に何も言わずに大学を卒業と同時にアメリカへ語学留学に行ってしまいました。

 私が、彼の留学の事を知ったのは彼がアメリカに旅立って3日後。

 彼の親友が、恋人だった私の事を心配し、彼との約束(口止め)を破ってまで、私に、彼の留学の事を教えてくれた。

 でも、本音を言うなら、他人の口から出はなく、彼自身の口から訊きたかった。

 それでも、彼の事が大好きだった私は2年の間、彼の帰りを待ちづけた。

 だけど、結局連絡どころか、帰ってこなかった。

 だから、私は、帰ってくる見込みがない彼を捨て、総一郎さん貴方との幸せ(結婚)を選びました。

 でも、やっぱり神様はちゃんと見てるんですね? 貴方から他に結婚したい女性がいる、お前とはただの遊びだと言われた時、最初こそ貴方の事を恨みました。

 だけど同時に、これは3年前、身勝手な理由で彼を捨てた自分への天罰だと思いました。

 なので、総一郎さん。貴方も私のことはきっぱり忘れて幸せになって下さい。

 では、さようなら。

p.s  貴方から貰った婚約指輪は、貴方の方で処分してください。

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