第6話
「いちごたっぷり生クレープ? スペシャルロールケーキ? あぁ! このフルーツサンドも美味しそう? あぁ! 悩む?」
茉莉川杏奈の勤務は、午後17時まで。勿論残業はなし。
なので、今日も17時にいつも通りに仕事を終え、いつも通りに職場をあとにして、コンビニで帰りの新幹線の中で食べるの物真剣な顔でを選んでいると後ろから突然声を掛けられた。
「今、お帰りですか?」
「!」
杏奈は、突然の声掛けに警戒しながらもうしろを振り返る。
「あぁ! 驚かせてすみません! コンビニに入っていく貴女の姿の見えたので」
そこに居たのは昼間所長室で所長と話していた赤毛の男性が、黒いバックを左肩に掛けて立って居た。
その姿に、杏奈は、思い出したかのように…声を出す。
「あぁ…昼間に所長室にえっっと…」
昼間は、紅茶を渡したしただけで、すぐ部屋をあとにしたので、男性の名前までは解らない。
なので、次の言葉が続かない。
「草津と言います。昼間はありがとうございました。紅茶美味しかったです」
草津の名前を訊いて、杏奈の頭に何故か千里の顔が浮かんだ。
だけど、それは一瞬ですぐさま嵐のように消えていった。
そして、いちごたっぷり生クレープとフルーツサンドを手に取ると、肩に掛けていた黒いトートバックの中から財布を取り出す。
「ありがとうございます。あの? お会計してきていいですか?」
そこで、ようやく杏奈が買い物の途中だった事を思い出す。
「あぁ! すみません。自分の事はいいのでお会計してきて下さい!」
「…ありがとうございます。行ってきます」
杏奈はあえて申し訳なそうに答え、商品を持ってレジに向かった。
★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます