第98話





「……何で、暁に電話するの?」




怪訝に顔を上げれば、優しい眼差しで暁は私を見つめていた。




「直ぐに、俺が莉茉を迎えに行ってやる。」




「え…?」




目を丸くする。




迎えに…?




「……っ、でも、お父さんとの約束なのに…。」




「俺にとっては、親父との約束よりも莉茉の方が大事なんだよ。」



「………暁…。」




引き寄せられ、ゆっくり包み込む暁の腕に、私は素直に身を任せた。

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