第56話

もう一度、彼に関する資料を読み返していた黒鳥のインカムに突然、会話が聞こえてきた。

『あんた誰? まぁ、いいかどうせすぐ死ぬんだし』

「!?」

 聞こえてきた声が一夜零だとすぐに判断できなかった。

 黒鳥が訊いた最初に訊いた零の声は、もっと優しく可愛い声だったからだ。

 けど、次に聴こえて内容で彼だと理解した。

「猶予やるよ。なんか、あんたすぐ殺すと面白くなさそうだし」

 インカムの向こうから、緊迫した会話が聴こえてくる。

 けれど、何故か黒鳥は、不気味な笑みを浮かべていた。

「……やっぱり、君は、強い子だよ」

 そして、空中にある紙をかざしながら、もう一度笑みを浮かべる。

 黒鳥が空中に投げた資料は野口が調べた一夜零に関する資料。この資料には、ある情報が隠されていた。解除するには、ある方法が必要だった。

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