第43話

小学4年生の頃、大好きだった両親を交通事故で亡くした。

 それも、自分が学校に行っている間に。

 朝もいつも通り『いってらっしゃい』と笑顔で見送ってくれた母さん。

 そんな母さんに『行ってきます。母さんも父さんとお出かけ楽しんできてね』と手を振りながら返事を返した。

 すると、母さんの後ろからいつもは、自分より早く家を出る父さんが少し怒った口調で現れた。

「零。早く行かないと遅れるぞ」

「大丈夫だよ。父さんも早く準備しないとデート遅れるよ」

「零!?」

 自分に跳びかかろうとした父親をかわして外に飛び出した。

「行ってきます」

 まさか、これが両親との最後の会話になるなんてこの時は、思いもしなかった。

「一夜君!? 親御さんが交通事故に巻き込まれて……」

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