第18話

(十一時までに、そっちらにふたりを向かわせますって黒鳥さんは言ってたけど本当に来るのか? あの時は、写真で判断したけど)

 左手に着けた腕時計で、時間を確認する框翔吾。

 零と朧が担当する今回の依頼人。

「あの? すみません」

 時間を確認していた翔吾に突然誰かが声を掛けてきた。

 翔吾は、慌てて後ろを振り向く。

 自分に声を掛けてきたのは、ポニーテールの女の子だった。

「隣開いてますか?」

「…えっと…」

 一瞬、十一時にやってくる探偵事務所の探偵の為に確保していた席だったが、その事は言わずに友人為に確保している席だと言って断ろうかと思ったが、

「あの? 無理なら…大丈夫です」 

 自分に声を掛けてきた女の子の余りにも純粋すぎる瞳と言葉に何も言えなくなってしまい・…

「あぁぁぁ空いてます」

 翔吾は、心の中でこれから来る探偵の二人に謝るとポニーテールの女の子に席を譲った。

 でも、肝心の女の子、すぐに席には座らず、反対方向に向かって手を振り出した。

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