第26話

零が使用する携帯には、電話、メール、カメラ、ボイスレコーダーの機能しかない。

 それに、連絡はインカムで行うのでほとんど使用しない。

 但し、依頼内容によって使用する場合もある。

 なので、全員携帯番号、メールアドレスを交換している。

 しかし、零は、表の人間に自分の正体がバレるわけにはいかない。

 だから、社長以外に番号もアドレスも教えていない。 

 どこから情報が洩れるかわからない。

 パートナーである蜩朧にも教えていない。

 協力者である音風幸也には表の一夜零の番号を教えている。 

 そして、用心の為に幸也には、鈴蘭学園外で俺の電話に出る時は、零(れい)と呼ぶよう頼んである。

 幸也には携帯を紛失しないように常に気を付けて貰っているが、もしもの時の為に俺との関係を疑われないように、幸也のアドレス帳には、表の一夜零の携帯電話と俺の下の名前だけが登録されている。

(俺は…結局、誰のことも信用しないって言っている割には、恭弥と幸也を自分の都合でこっちの世界に巻き込んでしまった)

 心の中で二人の人物の事を思い浮かべた零は、誰にもばれないように一瞬笑みを浮かべると携帯を広げ翔吾の前に出す。

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