（１１時までにそっちらに向かわせますってあの人は言ってたけど本当に来るのか？　あの時は、写真で判断したけど）

　左手に着けた腕時計で、時間を確認する框翔吾。

　零と朧が担当する今回の依頼人。

「すみません」

　時間を確認していた翔吾に突然、誰かが声を掛けてきた。

　翔吾は、慌てて後ろを振り向く。自分に声を掛けてきたのは、ポニーテールの女の子だった。

「あの？　隣座ってもよろしいでしょうか？」

「…どうぞ」

「ありがとうございます」

　１１時にやってくる探偵事務所の探偵の為に、確保していた席だったのだが、翔吾は、自分に声を掛けてきた女の子に席を譲る事にした。

　自分に、声を掛けてきたポニーテールの女の子は、席には座らず、反対方向に向かって手を振り出した。

「朧さん！」

★

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