第7話

「で、今日の依頼は?」

 朧と合流し彼が用意した車の中で制服を脱ぎ、スーツに袖を通した。

「知らない! 俺も、今回の依頼について何も知らないんだ」

 今回の依頼は、いつもより大変なんだと思い、仕事の時にしかしない病人の演技までして学校まで抜け出してきたのに、呼び出した本人が何も知らなくて怒りが込み上がってくる。

「はぁ? だったらなんで呼び出したんだよ! まさか! お前の独断」

「そんな訳ないだろ! ちゃんとした社長からの命令だ!」

「はぁ? 意味解んないだけど」

 朧の言っている意味が分からない。

「依頼内容は知らないけど、社長から仕事のメールならちゃんときた。けど、今回は、いつもと違って暗号で送られてきたんだよ」

「暗号で? って? ちょっと待って! 俺には連絡どころかメールすら送れてきてないけど?」

「それりゃあそうだろう? 俺にしか送られてきてないだから! それに、お前平日は電話どころかメールに出ないだろう?」

 平日の零は、こっちの世界とはほぼ無縁の生活をしている。

 なので、社長、そして、朧も余程のことがない限り零には連絡を取らない。

 なのに、今日は、その規定を破って、高校生の零を呼び出した

「だから、社長もお前に遠慮して、俺にしか暗号を送らなかったんだよ!」

「ふっん。で? それでその暗号には、一体なにが書いてあったんだ」

 零は、朧に社長からの暗号にはなんて書いてあったのか朧に尋ねる。

「はぁ?」

 零は、朧の携帯の画面を見る。

 そこには、意味不明の4行の文章が書かれていた。


※黒鳥恭輔から送られた暗号

いやりんぐとくろいばらです

ますめじるしはくろいとりの               

さんじのほうこうでまってい

でかまちさまがあなたがたを

ばろひいるかのんかくぞいす


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る