第6話 FIND OUT

第17話

このボイスレコーダー? いやぁ? メッセージが発見されたってことは、俺たち……護れたんだなぁ

 恭弥? そして、幸也?

 お前達、二人の未来を。

 まぁ? 一つ残念なのは、そこに俺たちがいられないこと。

 だけど、お前達、二人の明るい未来を護れたなら、俺も「ゼロ」もうれしい。

 例え、そのことで、お前、二人に恨まれたとしても、後悔は……

 俺たちは、二人の未来を護るためだけに、戦ったと言っても過言じゃないし、なんなら、二人がいなかったら、俺は……まぁ? あっちの俺は、最後まで、自分のことだけは助けようとしてたけど。

 それでも、二人がいてくれたから、俺は、生きる意味を見つけることができた。

 9年前、両親を失った時、俺の精神は一度壊れた。

  そして、その壊れた心が更に壊れない様に、「ゼロ」が生まれた。

 ゼロは、見た目こそ、自分とそっくりだけど、それ以外はまるで別人。      

 今でこそ、互いの記憶を共有できるけど、最初の方は、ゼロが、自分の体で、なにをしている全く分かった。

  だからこそ、最初の頃は、自分の秘密を知っているおばあちゃんと恭弥の前でしか「ゼロ」に変わらない様に、必死に自分と戦っていた。

 それでも、おばあちゃんが亡くなってからは、両親のいない自分に、ちょっかいを出してくる輩が、徐々に増え始め、そんな相手から自分のことを護ろうと「ゼロ」が表に出てきてしまうことが何度かあって、その度に相手から、奇異の目で見られることが多くなった。

※奇異の目:普通とは異なり、怪しく不思議なもの見る目。奇妙なものを見る目

 その度に、記憶のない自分は、何も言わずにただ笑ってやり過ごしていた。

まぁ? あとから担任から訊いて話しだけど、自分のことをいじめていた、いやぁ? 正確には、学園から特別扱いを受けていた自分に対する腹いせだったらしいけど、それをおこなっていた人物は、学園の経営に顔が利く家の生徒だったらしい。

 でも、もう一人の俺「ゼロ」の行為(サバイバルナイフに付いた血を舐める)を目撃した以降、その生徒は、学校を辞めたらしいと担任から教えて貰った。

 けどまぁ? 一夜零からすると「ゼロ」その行為じたい、何も知らないので、担任の話しを聞いても何にも感じなかった。

 むしろ、当時の自分は、全く他人の事を信じていなかったので、興味すら湧かなかった。

 でも、そんな俺を幸也。お前が変えてくれた。

 お前は、俺に、「一夜、俺と友達になってくれ!」って、上から目線でお願いしてきたよなぁ? 

 そんな風に、俺に、上から目線でもの言ってくるのは、恭弥以来だったから、一瞬驚いたけど、その時は、もう裏社会で正規探偵として働いていたし、あと、本当は、お前が、はじめて話しかけてきた時、本当は、お前の事消さないといけなかったんだ。

 blackBartの規定で、俺の秘密を知られてしまったら、例え、相手がどんな人間であろうとも、その場で処分しなければいけない。

※blackBart に入社してから、秘密を知られた人間10人(但し、依頼人は含まない)のうち、4人は自らの手で処分した。

 けど、そんなことできる訳ないだろ! 

 お前は、俺の親友で、はじめてできた友達だったんだから。

 だけど、そのせいで、幸也を……そして、恭弥、お前にまで迷惑を掛けてしまった。

 恭弥。お前のことは、俺じゃあなくて「ゼロ」が、一ノ瀬先輩らに、手を出さない様、頼んでみたいけど、きっと無理だと思う。

 だから、この9年間で、独自で築き上げた人脈とネットワークで、2人の安全だけはなにがあっても絶対確保するから心配しないで。

 それともう一つ、俺が居なくなったあと、きっと、雨宮煉と一夜和樹が、恭弥、お前の元に絶対やってくると思う。

 いやぁ? あの? 金にしか興味がないあの二人は絶対、お前の所にやってくる。

 だから、お前が、困らない様に先手を撃っといたから。

 恭弥、お前には言ってなかったけど、俺、高等部にあがる同時に、学園側にも伝えてないけど、柳那央って言う人の養子に入ったんだ。

 だからさぁ? 今の俺の名前、本当は一夜零じゃあなくて、柳零なんだ。

 けど、これだと色々支障をきたすから、普段は、一夜零って名乗ってた。

 勿論、恭弥たちの前でも。

 ごめんなぁ? 人を騙すには、まず身内からって言うだろう?

 それに、あいつらに、俺の大切な物をこれ以上奪われたくない。

 奪われるぐらいなら、恭弥と幸也、2人が奪われた方がいい。

 だって、俺の宝物は……………

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FLNDOUT 君だけがいない世界 一夜零編 なつかわ @na_tu_ka_wa

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