ＦIＮＤＯUT last letter 一夜零編

３

　拝啓　蜩朧様

　なんか恥ずかしいもんだぁ？　

　お前相手にこんな手紙を書くの？　いやぁ？　残すのか？。

　だってそうだろう！

　普段の俺たちからしたら、全然想像すらつかないし、なんなら気持ち悪いだろう？

　俺も、お前から突然手紙貰ったら、キモって思うんもん。

　それか、なんかのどっきりかと思うもん。

　だから、お前も笑ってるか？

　ドッキリの類だと思うってるだろう？

　けど、残念。

　今回の手紙は、ドッキリでも、ましや、お笑いでもありません。

　じゃあ？　なんだよって！　

　突っ込んでいるであろう、蜩朧に大ヒント。

　＜ラブレターではありません＞。

　なぁ？　覚えてるか？　４年前に、俺に最初に会った時、俺に訊いたよねぇ？

　なんで、自分を相棒として受け入れたのかって？

　俺は、その時、お前に、社長命令だからって？　返事を返したよなぁ？

　けど、本当は違う。

　本当は、始めて会った時のお前が、両親を亡くしたばっかりの９歳の頃の自分にそっくりだったんだよ！

　大切な人を突然奪われ、身近な人ですら（祖母と清水恭弥）信じることができなかった当時の自分と重なって見えたんだよ！

　だからこそ、お前に、自分と同じ道を歩んで欲しくなかった。

　自分は、寸前の所で、祖母や恭弥のお陰で踏みとどまることができた。

　けど、当時のお前は、あのまま誰かが手を差し伸べなかったら、闇に落ちていた。

　それも、二度度、戻ってくる事のできない深い谷底へ。

　朧。確かに、大切な人を突然亡くした苦しみは、その本人しかわからない。

　でも、俺は、お前の苦しみを他の誰よりは理解できる。

　だからこそ、お前には、俺にみたいになって欲しくないし、なんなら復讐なんて馬鹿げたことに自分を人生を棒に振って欲しくない。

　お前には、犯罪なんて似合わないし、なんなら俺の相棒だったことも、奇跡なんだぞ！

　だって！　俺は、黒き死神こと一夜零だぞ！

　なぁ？　朧？　もし、お前が復讐なんて、馬鹿げたことを望まなかったら、俺たちがこうして出会うことも、俺が、お前にこんな秘密を打ち明ける事もなかったんだぞ！

　朧。２年前、春村瑞穂の事件の真相（五条龍也による射殺事件）をもみ消したのは、警察じゃあなくて、春村瑞穂の父親だ。

　春村瑞穂の父親は、元政治家で、警察上層部の知り会いに頼んで、娘の事件もろもろもみ消したらしい。

　確かに、元政治家とは言え、実の娘が、裏社会の人間に射殺されたとマスコミに感ずかれたらなにを言われるか解れない。

　それに、本当に、自分の娘は、偶然事件に巻き込まれただけなのか、実は、自分の娘も裏社会とつながりがあるのではないという父親の一方的な思い込みだけで、警察が、事件を捜査をする前に圧力を掛けて、捜査自体をできない様し、自殺で処理させた。

　酷い父親だよな？

　まぁ？　当時の捜査本部の中には、上層の態度に反発して、勝手に自分達で事件を捜査をしようと動いていた刑事が数名いたらしいんだけど、どこからか圧力が掛ったのか、地方のそれも余り人がいない警察署にいきなり異動させられたらしいよ？

　まぁ？　俗に言う真実ごと、消されたってことだろ？

　それと、これこそ、お前には全然関係ないけど瑞穂さんの事件の後、離婚したらしいよ。

　まぁ？　そうだよねぇ。

　最愛の娘が急に居なくなったんだもんねぇ。

　それも、瑞穂さんの父親は、悲しむどころか、自分の保身ばっかり。

　一方の母親は、警察になんでも娘の事件のことを相談するが話すら聞いて貰えない。

　それどころか、「あいつは、自殺したんだ。いい加減あいつの死を受け入れろ！」と旦那に毎日のように言われ続け、悲しむどころか、精神的が壊れていった。

　そして、朧。お前も口では、俺のこと、散々人でなし馬鹿にしてたけど、お前の方が、俺以上に他人の事信じてないよなぁ？　

　まぁ？　同じ人嫌いな身からすれば、同情はするけど。

　それにしても、中学生だったお前のことを警察に売った警察官僚の息子で、今を時めくイケメン俳優堀松湊改め湊川護？　　

　お前を売ったそいつも凄いけど、そいつの嘘を一切疑わず、売られた方のお前をまるで犯人扱いする学校側やクラスメートの態度も凄いな。

　それりゃあ、中学生のお前が人間不信になってもおかしくないなぁ？

　けど、それは、あくまで朧。お前の問題であって、瑞穂さんには関係ないと思うぞ。

「俺さぁ？　中学生頃、ずっと親友だと思って奴に裏切られて、警察に補導されたから、他人のことが１００％信じられなくなったんだ。だから、いまは、瑞穂。きみの事も１００％信じることができない」

　朧。俺が、言えた義理じゃないけど、自分から「好き」って告白しといて、これは男として言っちゃダメだと思う。

それに、例え、心に傷を抱えていたとしても、好きになった女性に「今はきみの事も１００％信じることがができない」一番言っちゃダメだろう？

　これじゃあ？　瑞穂さんもお前に秘密を打ち明けられないって。

　俺だって言えない。

　だからさぁ？　俺がいつも言ってただろう？

「運命は時に残酷だって。そして、見えてる世界だけが、真実だとは限らないって」

　だからこそ……朧、お前は曇るなよ！

　そして、なんでもいいから夢を見つけろ！　

＿追伸＿

　朧。お前ならきっと大丈夫！　

　お前には、俺とゼロ。それに、瑞穂さんがついてる。

　だから……幸せになれよ？