第4話 想い人
第12話
12月6日。午後1時。鈴蘭の海辺にある霊園。
「……」
大きく吸い込んだ息をゆっくり吐き出す。
「そろそろ行くか?」
目を開けた恭弥は、隣で、同じ様に手を合わせ祈っている智樹に声を掛ける。
「そうだな? ってか? 恭弥?」
恭弥の声に気づき、目を開け、彼の方を振り向く。
「ん? どうした?」
「今更だけど、俺もその……一緒に行っても大丈夫なんだよなぁ?」
☆
零が眠る、いやぁ? 正確には、彼の墓は存在しない。あるのは、一本の桜の木だけ。
本当は、自分達の地元である「あさがお」にある、零の両親の墓に、一緒に埋葬してやりたかった。
でも、それをしてしまうと、零との約束(骨は海に散骨して欲しい)を破ってしまうことになる。
それでも、零が少しでも大好きな両親のことを感じられるように、そして、星が好きだった零が、常に星を感じられるように、海辺にある霊園に、樹木葬埋葬(桜)した。
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