第2話 2年越し

手紙

12月5日 午後3時 

<鈴蘭大学 近所のカフェ「凜」> 

 清水恭弥との約束の場所である大学近くのカフェ「凜」にやってきた音風幸也は、出迎えてくれた女性スタッフに「待ち合わせ」ですと告げ、奥の先でコーヒーを飲みながら、本で読んでいる茶髪の男性(恭弥)に声を掛ける。

「お待たせしました」

 本を読んでいた恭弥は、頭上から聴こえてきた声に、読んでいた本をテーブルに置き、

「久しぶり? ゴメンね? 突然呼び出して?」

「大丈夫です。それに、今日は、元々講義も午前中だけだったので」 

 2年前、鈴蘭学園高等部を卒業した朧は、教師を目指して、大学で日々勉強をしている。

※朧が通っている大学、鈴蘭大学教育学部

「あぁ! そうなんだ」

 朧の言葉に、恭弥は小さくため息をつく。

「あぁでも、こうして、恭弥さんと二人で会うのなんだか久しぶりですね?」

「えっ?」

 朧からの突然の言葉に、朧に椅子を勧めようと朧は、思わずその手を引っ込める。

「あぁ! すみません。恭弥さんとこうやって面と向かって話すの久しぶりだだなぁって思って? あぁ! そう言えば恭弥さん! 零? 元気にしてますか? 零の奴、相変わらず、自分には連絡の一つもなくて、恭弥さんには連絡きてるんですよね?」

「えぇ? えっと……」

 今日は、零のことで、幸也くんを呼び出したのがまさか、彼の方から、その話題を振られるとは思わず言葉に詰まってしまう。

「恭弥さん? どうかしましたか?」

 急に黙り込んでしまった恭弥に、幸也は首を傾げる。

「幸也くん?」

「あぁはい!」

「幸也くんは、その……零とは親友ってことでいいんだよね?」

「えっ? あぁ、あっちがどう思ってるかは分かりませけど、自分は、零の親友だと思ってます。それも、一番の」

 零の幼馴染兼お兄さん(義兄)の前で、こんな恥ずかしい単語を口にするのはどうかと思うが。

 自分にとって、零は、一番の親友で、かけがえのない親友だ。

 だからこそ、2年前のあの日を最後に、姿を消してしまった親友を俺は、ずっと探し続けている。

 零、俺は、何年掛かっても、お前を見つけ出す。

 そう何年かかっても。

 必ずお前を見つけ出す。

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