④Loved ones 大切な人

第20話

{朧! 悪い! 先に帰る!}

「朧くん。さっきはうちの社長さんがごめんね? あの人? 普段は、本当に頼りになるいい人なんだけどねぇ?」

 零と痴話げんか(朧の一方的に誤解)を終え、独り屋上に戻ってきた朧に、いつの間にかお酒を飲んだのか少々酔っ払い気味の駒井悠馬が声が掛けたきた。

「零から話しは訊いてます。城谷さん。黒鳥元社長の元相棒さんだったんですよね?」

 朧は、零から城谷純也について教えて貰った。

 その中には、黒鳥恭輔との関係も含まれている。

「そっか? きみと零くんも元は相棒だったねぇ?」

「……あぁはい。でも、俺たち場合、最初は最悪でした」

 そう、俺たちの出会いは、最悪だった。

「でも、今は、二人とも愛し合ってるだろう? お互いのこと?」

「はい」

 悠馬の言葉に、朧は、「はい」と返事を返す。

「だったらいいんじゃあない? 他人が何と言おうとも、他人がどう思うとも二人が幸せなら。それに……」

 悠馬が朧にだけ聞える形で耳打ちしてきた。

「……僕も実は純也さんとつき合ってるんだ」

「えっ?」

 悠馬からの突然のカミングアウトに思わず悠馬の顔を見る。

 すると、口元に左の人差し指を当てながら、自分に向かって恥ずかしそうに、それでもその顔は晴れやかだった。

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