第17話

_バンバン_

 部屋に響く2発銃弾。

 大きな音を立てながら床に散らばる掛け時計の破片とその部品。

 但し、壁自体には穴一つ開いていない。

 それに、事務所全体に防音対策が施されている為、発砲音が外に漏れる心配はない。

「なに! 今の音! 銃声!」

 智樹は、突然の部屋に聴こえてきたバンバンと言う音に驚く。

 しかし、すぐさまその音が聞こえてきた方を振り返り

「なんだよ? これ?」

 そこには…・・

 床に散らばったガラスの欠片、原形を留めていない時計の文字盤とその部品。

 そして……

「……零」

 自分に向けて拳銃を構える零。

「……智樹。俺さぁ? この拳銃で、2ヶ月前……人、独り撃ち殺したんだよ?俺は、殺人犯なんだよ? それでも、俺のこと本当に軽蔑しないのか?」

「……」

 零からの問いかけにすぐに返事を返すことができない。

それどころか、零のこと……

「……智樹。今日は、9年ぶりに、お前に会えて嬉しかった。だから……」

 言葉の途中で会話の切り上げると、構えていた拳銃(安全装置は解除していない)を拳銃ホールダーに戻し、時計の前で歩を進め、散らばったガラスの欠片と部品を拾い上げ、近くのゴミ箱に全て入れる。

 そして、改めて智樹に向きなおすと、彼に向かって、

「……智樹。今日で終わりにしよう? 俺たちの関係。そして、もう二度と、俺の前に姿を現すなぁ! もし姿を現したら……」

 _バン_

 銃弾を一発発砲。

「……お前を殺すから」

 その言葉を残して仮眠室から出て行く零。

一方の智樹は、その場にしゃがみ込み

★。

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