第16話
再び仮眠室。
「えっと……つまり、朧さんは、お前の元相棒で、今は恋人として付き合っていると?」
こうなったら零に事の真相を尋ねようと覚悟を決め、改めて仮眠室を訪れようとしていた智樹と、同じくお互いの誤解が解け、仮眠室を出て屋上に戻ろうとしていた零&朧が部屋の前で鉢合わせた。
「……まぁ? 色々あって。ってか! もういいだろう! この話しは!」
智樹の質問に、頬を真っ赤にする。
本当は、あのあと、仮眠室で朧も含めた3人ではなしをする筈だった。
しかし、それを零が拒み、朧さんだけが先に屋上に戻ることになった。
「ごめん。ごめん。けど、やっぱり気になるだろう! 9年ぶり再会した幼馴染が男性同士、それも、職場の先輩……」
「後輩! それにあいつは下っ端見習いで、俺は正規探偵。俺の方がアイツよりも階級も上だし、なんなら……」
「ごめん! ゴメン! 俺が悪かった。でも、朧さんのことは好きなんだろう? そうは言っても?」
「まぁなぁ? あんな奴でも一応俺の恋人だし。認めたくはないけど」
「いやぁ? そこは認めろよ! 朧さんが可哀想だろう? 恋人のお前にそんなこと言われたら」
「……ふふふ」
何故か突然笑い出す零。
「……なに笑ってだよ! こっちはお前の突然のカミングアウトを必死に受け入れようとしているのに」
突然笑い出した零に、智樹は流石に怒りが込み上がってくる。
「ごめん。ごめん。けど、そこまでして、無理して俺のこと受け入れようとしなくてもいいよ。俺はもう、智樹。お前が昔の俺じゃないから」
急に智樹のことを引き離す零。
「ふざけるな!」
智樹は、零の胸倉を掴み、そのまま壁に押しつける。
「ふざけるな! 俺は、どんなお前でも絶対軽蔑しない」
そうだ。こいつは、俺の大事な幼馴染で親友だ。
その親友の告白を俺が受け入れないでどうする?
(……どんな俺でも軽蔑しないか? でもねぇ? 智樹? お前はきっと……俺を軽蔑するよ?)
零は、智樹に聴こえない様に小さな声で呟くと、自分のことを壁に押しつけた彼の身体を強引に振り払い、銃弾を2発、頭上の掛け時計に向かって発砲した
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