第15話
「全く、零の奴、どこに行ったんだよ!」
恭弥と二手に別れ、いなくなった零の事を捜していた針谷智樹は、事務所内を独り彷徨っていた。
すると、どこから叫び声が聴こえてきた。
『本当は、清水恭弥のことが好きなんじゃあないのか』
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「なんだったんだ! さっきの……」
仮眠室を離れ、3階の階段の所まで戻ってきた智樹は、今さっき、資料室の中から聴こえてきた内容について考える。
内容以前に、9年前、自分達の元を離れたあと、零がこの9年間、どんな人生を歩んでいたのは、智樹には全く分からない。
だからこそ、今回、純也に誘われて、まぁ? 実際は、零が、恭弥に頼んで自分のことを誘ったらしい。
それも、なにか自分に話したい大事な話しあるらしい。
けれど、その大事な話しを零に訊く前に、その零によって、彼がいま通っていた鈴蘭学園を中退して、働いている捜し物専門探偵事務に連れてこれたと思ったら、突然、社長さんからバーベキューに誘われた。
そして、その最中に、自分をこの場に誘った張本人である零がいなくなり、恭弥と手分けして事務所とその近辺を捜すことになり、聴こえてきたのがあの会話だった。
「んんんん。まさかと思うけど、零が、俺に話したかったことあれじゃないよなぁ? いやいやぁ? それはあり得ないか? 恭弥にはいま好きな人いるし」
智樹は、自分で自分を納得させ、再び零と朧がいる仮眠室を歩を進める。
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