第12話
「まぁまぁ! 2人とも落ち着けって!」
喧嘩腰の二人になにもできずに、ただ茫然と二人のことを見つめることしかできない針谷智樹に代わり、駒井悠馬が恭弥と零の間に割って入り、それぞれの意見に耳を傾ける。
「えっと……清水くんは、零に昼飯を買ってきて欲しいって頼まれたんだよね?」
「あぁはい!」
駒井の質問に、恭弥は「はい」と返事を返す。
「で、昼飯を買ってきたら、零から電話きたんだよね? うちの社長からランチに誘われたから、今すぐうちの事務所に来いって? 零もこれであっている?」
「あぁはい」
「まぁ……少しニュアンスは違いますけど内容はあっています」
悠馬の問いかけに、恭弥と零、お互い違う内容で返事を返す。
しかし、零の方は納得していないのか、表情が少しだけ曇っている。
そんな零の表情を見ながら、悠馬は一瞬、二人にばれない様に後ろを振り返る。
「純也さん!」
すると、こっちに向かって、今回の二人の喧嘩の原因を作った張本人である城谷純也が、謝罪をしながらこっちに向かって走ってきていた。
そして、何故かその後ろを蜩朧がこちらも走って追い掛けてきていた。
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「清水君! そして、針谷君! 本当にごめんなさい。僕が、きみたちをランチなんかに誘ったばっかりに」
自分の元に来るなり、土下座を始めた城谷純也に、恭弥と智樹は、すぐさま、ああ
「城谷さん! あたたた頭あげて下さい!」
「そそそそうですよ! 幼馴染の恭弥はともかく、実は、僕、9年ぶりなんです。零と会うの。だから、むしろ助かりました。そちらからランチに誘っていただいて。だから、城谷さん! 頭あげて下さい!」
少々言葉遣いがおかしくなりつつも、純也にそれぞれ、自分の思いを伝える恭弥と智樹に、頭を下げていた純也はゆっくり頭を上げ、二人の顔を見る。
「……清水君。針谷君」
「それに城谷さん。もとわと言えば、零……あれ? あいつどこ行った?」
「えっ?」
恭弥の声に、智樹が左横を振り返るとさっきまでそこにいたはずの零が姿を消していた。
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