清人と航平の部屋で

第33話

あれから、航平は眠りに落ち、私もベッドを枕にして座ったまま寝てしまっていた。


「おはようございます。検温しますよ。」


看護師さんの声で目が覚める。


「おはようございます。」


検温と血圧測定をした後、


「包帯変えるから、彼女さんは見ない方がいいですよ。

ちょっとスゴいですから。」


と言われ、「荷物取りに一旦帰ります」と言い、病室を出る。


病院を出ると、朝日が眩しかった。


ロータリーに入ってきたバスに乗り込み、スマホの電源を入れる。


すごい勢いでlineや不在着信の知らせが入ってきた。


古いものから一つずつ見ていく.。


由利香から『あの女に、航平くん、刺されたの?航平くんは未成年だからニュースではAくんだけど、あっちは25歳だからバッチリ出てるよ!愛美も未成年でよかったね!』


今は4月下旬。


航平は5月生まれ、私は9月生まれの19歳だから助かったけど、誕生日来てたら、名前とか公表されちゃうの?


それにしてもあの女、25歳だったのか。


続けて『今、病院かな?航平くんどう?』


『臓器には達してなかったから、傷が塞がったら抜糸して退院だって。』


と返事する。


次は清人からだった。あの女の顔も見てるし、事情も知ってる。


『愛美、愛美は怪我しなかった?アイツはどんな状態?見たら電話して。』


『今、バスの中だから、着いたら電話する』


すぐに既読になり、


『わかった』


と返ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る