第34話

家に着き、シャワーを浴びる。


それから、清人に電話する。


「愛美?大丈夫?」


「うん。航平は、少し縫ったけど、傷は浅いから、すぐ退院できそうだよ。」


「そっか。」


「それでね、航平の部屋に、服とか取りに行くんだけど、付き合ってくれる?」


「いいよ。着いたらうちに呼びにきて。」


「うん。ありがとう。」


清人の部屋のチャイムを鳴らす。


「鍵、ある?」


「うん。航平から、預かってきた。」


「俺が開けるよ。」



私が割った食器は、紙に包まれ、不燃ごみの袋に入れられていた。


航平のバッグに、服や携帯の充電器など、必要なものを入れていく。


思わず視界に入ったベッド。


あの日とは違うカバーやシーツがしてあった。


嫌でもあの光景が思い出される。


まだ、ショックなんだ。多分、関係のない人のを見てもショックだろうから、彼氏のを見たら、もっとショックだよね。


清人が私を抱き締めてきた。


「気づいてる?体が震えてるの。」


私の体はガタガタと震えていた。


「早く出よう!」




部屋を出て、清人が鍵を締める。


「俺も病院に行く。俺の車出すよ。

それじゃ、運転は無理。」


まだ、体が震えていた。

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