第28話

思わず構えた私の前に、航平がさっと出てきて…


「うっ…」


航平の呻き声が聞こえたかと思うと、ゆっくり地面に倒れていった。


刺されたところを押さえながら。


周りにいた人たちが、あの女を取り押さえ、警察や救急車を呼んでくれた。


救急車の中で


「航平、なんで?私、自分の身くらい守れるよ?

なのになんでかばったの?」


酸素吸入器をつけたまま、航平は力なくフッと笑った。


「喋らないで」救命救急士さんが言う。


搬送先の病院に着き、航平はストレッチャーで手術室に運ばれる。


私は手術室前の長椅子に座り航平の無事を祈る。


どのくらい経ったのか…手術室の扉が開き


「無事、手術は終わりました。幸い、臓器には刃物が到達していませんでした。

今は麻酔で眠っています。

では、お大事に。」


「ありがとうございます。」


ストレッチゃーで病室に運ばれる航平についていく。

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