狂気

第27話

店の外は少し肌寒かった。


ブルッと震える私を見て、航平が着ていたジャケットを脱ぎ、肩にかけてくれた。


こういう、よく気がつく優しいところが好きだった。


「愛美、今日の昼、由利香さんに立ち会ってもらって、アイツと話したんだ。」


「そうなんだ。」


「俺はこれからは愛美だけを見ていく。利用して悪かったって謝ったらわかってくれた。」



その時、後ろから


「アンタがいるからっ!」


て叫び声がして、振り返るとあの時の女が、刃物をもってこっちに走ってきた。

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