第26話

「次、カラオケ行くけど、みんなどうする?」


雪先輩がみんなに訊く。


「私、すみませんがそろそろ帰るので。」


「俺も帰る」


と、卓巳さん。


「卓巳、送り狼にならないように。」


「いきなりがっついたりしないよ。」


「そ?まぁ、愛美ちゃん強いから。なんかあったらやっちゃっていいからね、愛美ちゃん。」


「わかりました。クスッ」


「じゃーお先。」


座敷を出て、卓巳さんの後ろについて、入り口の方に歩いていくと、カウンターで航平が飲んでるのが見えた。


航平は私に気づいて、口を開きかけたけど、私の前を歩く卓巳さんに視線を送った。


カウンターの角に座っている航平の前を通ろうとしたとき、ぐいっと腕を引っ張られた。


「航平…?」


座っていた航平がガタッと立ち上がり、卓巳さんは後ろを振り返る。


「あれ?元カレ?」


「別れてないので、今カレです。」


「別れたって聞いたけど?」


「敦、直樹、ごめん。先帰る。」


財布からお金を出し、カウンターに置く航平。


「今日は君に譲るよ。

じゃ、愛美ちゃん、おやすみ。」


「おやすみなさい。」

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