第25話

「席替えターイム!」


「あ、すみません。お手洗いに行ってきます。」


トイレに立つと、ちょうどトイレから航平が出てきた。


「愛美。」


「航平。」


「どこで飲んでるの?」


「そこの座敷で。」


「俺はカウンター。座敷って、合コンじゃない?」


「雪先輩に女子会と聞いて来てみたら、合コンだった。」


「…俺も参加していい?」


「えっ?」


「冗談だよ。

酒に強いからって、あまり飲みすぎないように。」


「うん。」


トイレから出て、座敷に戻る。


ほんの少しの間に、なんとなくカップルが出来上がってた。


テーブルの端の方で、卓巳さんがビールを飲んでいた。


「愛美ちゃん、こっち!」


「なんか、カップルできちゃってますね。」


「そうなんだよ。なんか急に。」


「あ、愛美ちゃん。卓巳から聞いたかな?

卓巳が愛美ちゃん狙いだから声かけたこと。」


「はい、さっき聞きました。」


「イトコのアタシから見ても、わりといい男だし、ちょっと、お薦め。」


「ちょっとかよ?」


「すっごいお薦めではないかなぁ。ちょっとチャラいし。」


「全然チャラくないよ?愛美ちゃん。

あ、次何飲む?」


「あ、逃げたな?」


「スクリュードライバーを。」


卓巳さんはみんなに飲み物を聞いて、オーダーしてくれた。


「愛美ちゃん、二人で抜けない?」


こそっと耳元で卓巳さんが言う。


「えっと、でも…」


「失礼しまーす」


飲み物が届いた。

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