第22話

「どうしたら、やり直してくれる?」


「どうしても無理だよ。航平、もし私と誰かが、航平と使ってるベッドでシてるの見たら、どうする?」


「…俺は別れないと思う。」


「何回もだよ?許せる?」


「許せないかもしれないけど、別れたくないから、別れない。」


「二人とも、意地になってない?

ちょっと距離を置いて考えてみたら?

航平くんは、別れても仕方ないと思うかもしれないし、愛美は許せるかもしれない。どう?」


「ちょっとって、どれくらい?」


「とりあえず、一月置いてみよう。

で、さっきの彼女はどうする?

アタシが立ち会いのもと話し合わない?」


「由利香!」


「愛美のためだもん。アタシはそうしたい。

航平くん、また後で連絡するから、番号教えて。」


番号を教え合う二人。


「じゃ、そろそろ引き取ってね。アイスコーヒー代は払っておくから。

今日は愛美とランチをするために来たんだから、邪魔しないでね。」


航平はスゴスゴと帰っていった。


道路の向こう側にいた女も、もういなかった。


やっぱり由利香はすごい。


航平は言わなかった、由利香直伝の『浮気現場に遭遇したら』を実践したことを。あとで報告しとこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る