第16話

「積もる話もあるだろうし、アタシはこれで」


サチは教室に入っていく。


入れ替わりに航平が出てきた。


「愛美!ちょっと。」


航平に腕を引かれる。


「放せよ」


清人が航平に言い、ぐいっと私を引き寄せ抱き締める。


「なんだよ、お前…昨日から」


「お前に愛美は合わない。愛美を裏切り泣かせた。」


「もう浮気はしない。愛美だけだ。」


「清人、行こう。」


航平を残して二人、校舎から出る。


「うちでいい?帰り、送るから。」


「うん。」


車を発車させる。


「愛美、大丈夫?なわけないよな。」


「航平のことは好きだったけど、私、元には戻れない。」


「うん。」




自宅につく。



「変わらないな」


「古くなったから、あちこち直してるよ。」


「お邪魔します。」


「今は私一人で住んでるんだ。」


「一軒家に?怖くない?」


「もう慣れたよ。部屋で待ってて」


「うん。」


コーヒーをもって、部屋にいく。


「ありがと。」


またきよちゃんとこの部屋にいるなんて、不思議な気分だ。

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