第15話

「愛美、帰ろう!」


「えっ?私、車だよ?」


「俺、歩き。」


「愛美!」


航平が割ってくる。


「あれ?山下くん、愛美ちゃん狙い?

でも、愛美ちゃんは航平の彼女…」


「ではなくなりました!」


サチが入ってきた…。


「そんなわけで、昨日から、俺、猛アタックしてるんで。」


「愛美、行こ」


サチに腕を引かれ、 教室を出る。


隣を見ると、なぜか清人がいる。


「山下くんてさぁ、どこかで会ってない?」


「俺、小学6年まで、こっちに住んでた。

名字は大宮だったけどね。」


「ああ、大宮くん!」


「サチはずっと、愛美と一緒なんだ?」


「そう、ずっと仲良しだよ!」


大宮…清人


きよちゃん?


きよちゃんは、うちのお隣さんだった。


確か、ご両親の離婚で引っ越していった。


きよちゃんは、いつも優しくて、いつも一緒にいた。


引っ越すと聞いたとき、すごく悲しかった。


「きよちゃん、なの?」


「うん。」


「ホントに?」


「うん。」


思わずうるうるしてしまう。


「愛美、俺の前では泣き虫だなぁ。」


そう。私はいつも清人に守られていた。


清人がいなくなって、中学から友達になった由利香に鍛えられ、強くなった。中身は変わらないけど。

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