第56話

落ち着いたところで、


「ちょっとごめん。」


隆太先輩に返信。


『廣田くんの家にいます。』


打ってすぐ廣田くんちのチャイムが鳴り、続いて


「お邪魔しまーす!」


と聞こえたかと思うと、階段を上がってくる足音が聞こえてきた。



コンコン「入るぞ。」コン。


「りゅーちゃん?」


「オス。陽緋ちゃん、うちにおいでよ。」


あたしの前にしゃがんだ隆太先輩が、あたしの腕を引く。


「りゅーちゃん?

上野さんは、俺の彼女なんだけど?」


「お前は亜美が好きなんだろ?

俺は陽緋ちゃんが好きなの。」


そうだよね、亜美先輩が好きだよね。


なのになんであたしに固執するんだろ。


亜美先輩がダメだったときの保険?

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