第35話

「あたし、帰るね。お邪魔しました。」


「待って!」


あたしの腕を引いたのは……隆太先輩だった。


「送るよ。」


隆太先輩は、あたしの背中を押しながら自分も廊下に出て、廣田くんの部屋のドアを閉めた。




隆太先輩と玄関で靴を履き、外に出る。


「うち、そこ。」


廣田くんちのお向かいだった。


「後ろ、乗って。

で、陽緋ちゃんちまでの道案内お願い。」


「わかりました。

こちらこそ、お願いします。」


あたしが荷台に乗ると、隆太先輩は、あたしの腕を自分の腰に巻き付けた。


「さっきの話、ホントだから。考えといて。」

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