第34話

「一目惚れしたから。」


「はっ!?」


「今年の春かな?

俺が怪我して保健室行ったら、陽緋ちゃんが佳代子……翼も知ってるだろ?

陽緋ちゃんの友達で、陽翔と付き合ってる、陸上部マネの。 」


「ああ。知ってる。」


「先生留守でいなくて、怪我した佳代子の手当てしたあと、俺の手当てもしてくれたんだよ。」


記憶を辿ってみる。


春…佳代子の怪我…


「ああ、そんなこと、ありましたね。」


「その頃、ちょうど亜美にうんざりし始めた頃で、陽緋ちゃんのあの時の笑顔に癒されたんだ。」


「上野さんは、俺の彼女だよ?」


廣田くん、ちょっと怒ってる?


“俺の彼女”発言にドキッとする。


彼女らしい扱いなんて、受けたことないのに。


「お前は、亜美が好きで、亜美と付き合いたいんだろ?」


「それは」


「いいよ、廣田くん。短い間だったけど、ありがとう。」


「上野さん?」

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