第25話
保健室に連れてこられた。
しんと静まり返った保健室。
誰もいない。
「先生いないみたいだから、俺が消毒するよ。
先に手、洗おうか。」
「あ、あのっ、大丈夫です。
自分で消毒できますから。」
隆太先輩は、あたしの視線に合わせ、身を屈めて、
「陽緋ちゃん、左利き?」
「右利きです。」
「右手ケガしてるのに、自分でできるの?」
「頑張ります!」
「ぷっ!いいから、ほら、こっち来て。」
ケガしたところを、隆太先輩が洗い流してくれる。
隆太先輩、サラサラストレートの黒髪。
キリッとした顔だなぁなんて横顔を見ていると、その顔がこっちを向く。
「昼休み。」
「え?」
「聞いちゃったかな?」
昼休み…もしかして…。
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