「ごめん、大丈夫？」

差し出される手を取りながら立ち上がり、相手の顔を見ると…。

「隆太先輩！？」

「はい。

あ、キミ、陽緋ちゃんだよね？」

「えっ？なんで名前…」

「陽翔からよく話を聞くから。俺、陸上部。」

「あぁ！」

そうだった。

陽翔が、陸上部に隆太先輩っていう、イケメンでいい先輩がいるって言ってたから、隆太先輩のこと知ったんだ。

「りゅーちゃんっ！」

後ろを振り返ると、廣田くんと亜美先輩が並んで立っていた。

「翼の友達？」

亜美先輩が廣田くんに訊いてから、あたしを見た。

「陽緋ちゃん、手から血が出てる。おいで。」

隆太先輩は、亜美先輩を見ることなく、あたしの手を引き、校舎の方に歩いていく。

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