第57話

そういえば、アタシが大学3年、正和が4年の時、母に借りた車で正和のアパートに行ったときも、


「ちょっと出掛けてくる」と、アタシの母の車を勝手に使ったことがあった。


その少し前まで、正和は、お父さんに買ってもらった中古車を乗り回していたけど、大学の門にぶつけてしまい、車を取り上げられた。


さらにその少し前は、仮免を取ったばかりのアタシに


『疲れたから運転代わって』


と、本気で言ったこともあった。



その1年後、正和がUターン就職して、アタシに会いに来るのに、予定を大幅に遅れてると思ったら


『事故った。でも、行くから。』


と、連絡を入れてきた。


運転が下手なんだ。あと、いい加減。


右に曲がるとき、一瞬ウィンカーを出してすぐ消して右折するから、後続車に『プップー』と鳴らされるし、たまに脱輪するし…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る