第56話

「彼女、1人?」


後ろから声をかけられ、振り向くと。


「織田さん。」


「声かけられてたね。」


「はぁ…。」


「で?何してるの?」


「彼と待ち合わせです。」


「あ、そうなんだ?」


「はい。」


「んじゃ、またね。」


「失礼します。」




正和の車が駐車場に入ってきた。


運転席から降りるなり、


「運転代わって。」


「イヤ。」


なぜなら、もし、アタシが正和の車を運転して事故っても、保険が下りないのを知っているから。


保険料が安いからという理由で、『家族限定』にしてるのだ。

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