第33話

プシュ。

ビールのプルタブを開けて、喉をならして飲む創くん。



「今日はゆっくりできた?」


「うん。まぁね。

あ、筑前煮と鯖の味噌煮持ってきたよ。」


「うまそ。温めて?」


「どのくらい食べる?」


「全部。」


「待ってて。」


電子レンジでタッパごと暖める。



「どうぞ。」


「いただきます。うん、うまいよ。

美咲はいい奥さんになるね。」


「そうかなぁ。」


「うん、なれるよ。」


「…………」


二杯目のコークハイを一気に飲み、三杯目を作る。


「それ、何杯目?」


「まだ三杯。」


「ウィスキー、あとでくるんじゃない?

明日仕事だろ?」


「うん。」


「もう、それが、最後ね?」


「はーい」




バッグからメールの着信音。


「早苗かな?」


田原さんだ。

『明後日仕事何時まで?』


「松田さんだった?」


「違う人だった。」


『明後日は19時までです。』


『了解。楽しみにしてる』

には、返事しなかった。



「そういえば、何か話したいことあった?」


「ん?」


「急に迎えに来るなんて。」


「何でだと思う?」


「そんなの、創くんにしかわかんないでしょ。」


「当ててみて」


「ご褒美は?」


「んー。気絶するほど……」


「バカー!!!」



洗面所で歯磨きをし、ベッドに入って

「おやすみ!早く電気消して。寝るから」


「わかった、もう、ちょっと待てないの?」

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