第3話

早苗の悔しがり様を話していたからか、それからしばらくしてカナさんが「晩ご飯食べにおいで」と、アタシたち新人フロント3人を誘ってくれた。


同期の早苗と真澄と連れだって、カナさんちに行ってみたら、見知らぬオジサンがいた。

うちのホテルの板さんらしい。


調理場に宴会時間を上げにいくことはあるけれど、

大きい声で宴会場と宴会時間を言うのに精一杯で、

板さんの顔なんて見てない。


アタシの隣に座る早苗が小声で「カッコいいね!」と言う。その板さん、飯塚さんは、イケメン…の部類なんだろうけど、なんとなくチンピラっぽい。

服装も動きも話し方も。


11月ということもあり、ご飯は鍋だった。

5人で鍋をつついていると、カナさんちに電話が。


暫くすると、お造りを持って、男の人が二人やってきた。

二人ともうちの板さん。らしい。

その一人が田原だった。

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