第21話

アタシからそっと体を離した知己が、


「送るよ。」


「駅まででいいよ。」


「家まで送る。」


「いいよ、そんな。」


「ひとりになったら、また泣くんじゃないの?」


「う…」


「紗香は、笑った顔がいいよ。」


爽やかに笑う知己。


「年下のクセにナマイキ!」


「歳は関係ない。」


真顔になった知己とベッドに挟まれ、さっき初めて経験したディープキスというものを、味わう。


アタシの舌を捕らえて離さない知己の熱い舌。


息ができなくなって、知己の胸を押す。


「知己、苦しい。」


「俺に溺れろよ」


肩と腰に回された腕に力が入り、知己とアタシの身体がひとつになるんじゃないかってくらい、密着する。


頭がポウっとなって、全身の力が抜ける。

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